「SA7」Mission:Candy Night
こんにちは。プチレーヴ運営局です。
『電撃Girl's Style』2015年3月10日発売号に掲載していただいた
「SA7-Silent Ability Seven-」のSSを当ブログでもご紹介させていただきます。
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「Mission:Candy Night」
登場人物:橘理人(リード)&有働巽(キール)
「キール、話がある。その場で待機していてくれ」
深夜、ARKが所有するホテルの一室から狙撃ミッションを終えた俺の元に、リードから通信が入った。
「通信じゃ、まずいのか?」
「……あぁ。30分後に合流する。俺が到着するまで、キールはその部屋に盗聴器などがないか、再度確認をしてくれ」
「了解」
リードの口調から、深刻さを察した俺は、ミッション前と同様の慎重さで部屋を調べた。
そして……きっかり30分後、リードが部屋に現れた。
「話っていうのは?」
「……あの“新人”のことだ」
「あぁ、“あの子”か。まだまだ直感能力にはムラがあるようだが、訓練や今後のミッションの振り分け次第……成長に期待だな」
「期待……」
「なにかあったのか?」
常に冷静で、自分の判断には絶対の自信を持つリードが何かに迷っている?
もしかして、超論理的思考の持ち主である彼は、まだ彼女の直感能力を信用出来ないのだろうか?
「……先月」
俺は、先月行ったミッションを思い出す。
確か中旬に、リードの俺と彼女が三人で行ったミッションが一度だけあった。
あの件で何かあったのか? ただの簡単な監視ミッションでしかなかったが……。
「先月、キールはあの新人から……その、ば、バレンタインのチョコレートを受け取っていたな」
「……は?」
バレンタイン? チョコレート?
「忘れたなら、本部に残っている監視カメラのデータを――」
「いや、忘れてないぞ。ちゃんと覚えている」
手作りらしいチョコは、なかなか美味かった。
「確か、俺がもらった後、リードも受け取っていたよな?」
「あ、あぁ……」
さっきからリードは、俺を見ない。
落ち着きなく、視線を泳がせている。
「あの時、キールはあの新人に『お返しは期待していてくれ』と言っていたが……何を返すのが最適だ?」
「お返し? ……あー、マシュマロとかクッキーとかお返しすればいいと思っていたが。何かまずいのか?」
「……なるほど。キャンディーは?」
「あぁ、いいんじゃないか? なぁ、リード。お前まさか……」
「なんだ?」
「お前、ホワイトデーに女の子にお返ししたことないのか?」
一瞬、リードの動きがピシッと止まり……そしてどんどん眉間のシワが深くなる。
「……本件は機密として扱え。もちろん、ARKの人間への口外も禁じる」
結局、リードは俺の問いには答えず、部屋を出て行ってしまった。
- 2019.03.10 Sunday
- SA7
- 13:00
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- by プチレーヴ